知っておきたい
介護のこと
介護の時間に笑顔を増やす
初めて在宅介護をするときに、大切にしてもらいたいことや知っておくと役立つことなどを介護の専門家である浜田先生にお聞きしました。ぜひ、介護をするみなさんで読んで、知ることからはじめてみませんか。
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〈監修〉
浜田きよ子 先生- 高齢生活研究所 所長
- 排泄用具の
情報館「むつき庵」代表 - NPO排尿ネットの会 理事
母親の介護をきっかけに、介護や福祉用具について研究。以来、医師や理学療法士、看護師たちとの学習会を開催したり、介護や福祉用具の相談などを行ったりと、一般の方への研修から、医療関係者への研修、講演など数多く行っている。著書に「老いの技法」(時事通信出版)ほか多数
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心がふっと軽くなる
「はじめての介護の心得」
自分だけで
頑張らないこと
- 自分だけで
頑張らないこと
介護は突然はじまることも多く、最初は不安だらけだと思います。
いつまで続くのか見通しも立たず、自分だけで介護をしようとすると、一生懸命になりすぎて、気が付いたときには、お互いにきつい介護になってしまうことも。
だからこそ、はじめから「頑張らない」と決めること。
それは、“介護をしない”ことではなく、一人で、家族だけで、“背負わない”ということ。自分のまわりの使える制度(介護保険など)や頼れる人たちをしっかりと把握して、使えるものは使って、心身の負担を軽くすることが大切です。
はじめての介護の心得
3つのキーワード
介護を必要とする人の状況は変わってきます。まずは家の中のこと、家族のこと、自分のことを俯瞰し、誰もが自分らしく毎日を過ごせる暮らしを新しく組み立てましょう。
- 介護の分担を決める
介護が必要となった時点で、家族や親せき・離れて暮らす兄弟姉妹とも相談しましょう。
一人で背負うことがないよう経済的なこと、介護自体もできれば分担し、みんなで見ていくことが大切です。
- 動きやすい環境を整える
車いすや杖で移動することを考え、段差や階段など家中の「足元」を見直し、ケガすることのないよう安全な環境を整えましょう。
- 介護から離れる時間をつくる
できる限りこれまでの自分の生活を変えないこと。仕事を続ける、趣味に没頭できる時間をつくることを心掛けましょう。
「できることは自分でやりたい」。介護を必要とする本人の気持ちを尊重し、できることを増やしてあげましょう。本人にとっても、介護する人にとっても、じつは負担が減ることにつながるのです。
介護で受けられる公的なサポートは、お住まいの地域包括支援センター、もしくは役所の高齢福祉課などで相談を。また、介護用品など便利なアイテムは、介護保険を活用して積極的に利用しましょう。
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ついやってしまう
「介護で気をつけたいこと」
丁寧に見て
いくことが大事
- 丁寧に見て
いくことが大事
介護は100人100様です。
時間がない、忙しいときなど、心に余裕がなくなってしまうとどうしても目の前の対処ばかりに気を取られてしまいます。じつは、介護を必要とする人にも時間をかけたらできることがあったりします。
できることは自分でやってもらう。そのためには、なるべく体の動きを丁寧に見て、できること、できないことを把握してあげることが大切です。
動作編
行動を制限してしまう
何でも手を貸してしまうと、自分で何とかしようとする意欲まで失われ、介護の重度が進んでしまうことも。自分でできることは自分で!無理なことはサポートするくらいの気持ちでいてあげましょう。
見た目だけで
判断してしまう
毎日の暮らしの中で、姿勢を意識することはとても重要です。元気な人にとっての楽な姿勢が、介護を必要とする人にとって、体に負担をかけない姿勢とは限りません。クッションなどを活用して、できるだけ正しい姿勢を保てるよう意識しましょう。
介護用品の使用に
躊躇してしまう
車いすは自由な移動を助け、介護ベッドは起き上がりを楽にするだけではなく、介護者の腰の負担を軽減します。入浴用リフトがあると体力的な負担が軽減できるなど、じつは介護用品は、介護する人を楽にしてくれるのです。
会話編
あいさつのように
確認してしまう
相手が正解を知っていて、自分が試されているというのは心地よいことではありません。認知症を抱えた方にとっては、試すことでできなさを確認することになりかねません。決して確認したり、試したりしないこと。
調理中に
口を出してしまう
できないと決めつけずに、野菜を切ることはできるなど、できることをやってもらいましょう。身体が覚えている行為は行えても、手順を混乱していることがあるからです。
食事編
テレビを見ながら
食事をさせてしまう
食事中は、食事に集中する雰囲気作りが大切です。テレビに気を取られて、食べるペースが遅くなると食べる量が減ったり、悪い姿勢で飲み込んだりすると、誤嚥につながります。テレビを消して食事に集中してもらいましょう。
排泄編
おむつの当て方を
気にしてしまう
おむつから尿や便が漏れたり、おむつがずれたりするのには必ず要因があります。サイズが合っていない、陰部に痒みがある、おむつの当て方がよくない…漏れにつながる原因をひとつずつきちんと見ていくことが、解消方法の近道です。
排泄管理を
疎かにしてしまう
排泄を管理(いつ、どのように出ているか、どのような排泄物か)することで、食べたものがきちんと消化されているか、体調に異変がないか、排泄するタイミングはいつか、などを知ることができます。あらかじめ余裕をもって準備ができたり、病気の早期発見にもつながったりします。
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お互いにうれしい!
「介護用品の選び方」
状態に合わせて
必要なモノを選び、使う。
そして事前に
知っておくのも大切
- 状態に合わせて
必要なモノを選び、使う。
そして事前に
知っておくのも大切
介護を必要とする人だけではなく、介護をする人も助けてくれる介護用品。
介護保険の対象となる用具については、介護が必要な人の状態、自分の状態に合わせて、ケアマネジャーとも相談しながら、福祉用具専門相談員などの助言のうえで、必要なモノを選択しましょう。
ただ、介護保険で使える用具だけではなく、ちょっとした用品についても知っておくことで、介護が楽にもなります。そのためには専門家に任せるだけではなく、さまざまな介護用品を知っておくことは大切です。
いざという前に知っておくと安心!
3大介護 食事入浴排泄
で使用が予想されるアイテム
介護用品選びのなかでも、とくに消耗品は1日に何度も使用するものが多く、費用負担も大きくなりがちです。あらかじめこれから必要になるアイテムを知っておくことで、いざ必要というときにも焦ることなく準備することができます。
- あとかたづけが楽!
食事で使いたいアイテム -
エプロン
毎食使うものだからこそ、衛生面を考えて選びましょう。
食事がうまくできない場合は、服や床、テーブルなどを汚しがちに。口元から落ちてしまった食べ物や飲みものをしっかりとキャッチできる、ポケットタイプのものがあると便利です。
また使い捨てタイプを利用することで、洗い物の負担軽減にも。食卓が明るくなったり、使用する本人の気分が上向きになったりするようなカラーを選んでみましょう。
食事シーンで使用が予測される商品
●食事用エプロン ●高齢者向けの箸、スプーン、フォーク、コップ、食器 ●薬のみ ●介護食(主菜・副菜・汁もの・デザート)、とろみ剤 ●入れ歯洗浄用品 ●口腔用品
- 体を清潔に保てる!
清拭で使いたいアイテム -
ウエット
タイプの
からだふき
皮膚が薄く乾燥しているため、肌あたりの良さも拭き方も重要です。毎日入浴することが難しいときには、肌にやさしくて高保湿のウエットタイプのからだふきがおすすめです。拭き方も過剰にこすらずに、押し拭きを心がけましょう。
- デリケートな
肌にもやさしい!
排泄時で
使いたいアイテム -
おしりふき
大人用のおしりふきは、厚みがあるので使いやすいのが特長です。
おむつかぶれや乾燥などにより、想像以上に肌はデリケートな状態に。人によっては、シートの肌あたりや冷たさを不快に感じることもあります。シートをひと肌に温めてあげるなど、様子を見ながらケアを変えてあげることも大切です。
トイレに流せるタイプを選ぶと、処分の手間も軽減できるので、気軽に使用できます。
入浴シーンで使用が予測される商品
●からだふき(ウェットティシュ) ●清拭用品 ●スキンケア用品 ●皮膚保護商品 ●入浴補助用具 ●入浴介助用品
- 感染症リスクから守る!
介護ケアで
使いたいアイテム。 -
介護用手袋
入浴や排泄の介護シーンでは、汚れ防止だけではなく、感染症リスクからお互いを守るためにも介護用手袋を着用しましょう。サイズはフリーサイズではなく、手先の細かな作業がしやすいジャストサイズがおすすめです。薄手を選ぶことで、手のぬくもりが伝わりやすくリラックス効果の期待も。
排泄シーンで使用が予測される商品
●大人用おしりふき ●おむつ取り替え用使い捨て手袋 ●防水シーツ関連 ●尿器 ●おむつ関連用品 ●ポータブルトイレ関連用品 ●各種消臭用品 ●洗浄ケア用品
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浜田先生からのメッセージ
自分らしい
暮らしを大切に
- 自分らしい
暮らしを大切に
できるだけ自分の暮らしを楽にすること。つまり「無理をしないこと」です。
これまで自分が大事にしてきたことを継続できるような、そんな時間が持てるように過ごしてほしいですね。
そのためにも、元気なうちから、介護の仕方について知っておくこと、それにより、いざというときに心身に余裕ができます。まだまだ介護などは不要という時期にこそ、介護について学んでおくことをおすすめします。
当然、介護を必要とする人の体調を把握しておくことは大事ですが、過剰に時間を奪われないようにしてください。熱心な介護者が燃え尽きてしまう例もあります。そうなると、介護が必要な人の暮らしも損なわれてしまいます。
自分の趣味を継続させるために、例えばその時間だけはデイサービスを活用するとか、ショートステイを検討してみるのもいいでしょう。
誰にでも自分の暮らしがあります。時間を介護に奪われすぎないとお伝えしましたが、介護をいったん引きうけたうえでのことです。
いつまで続くのか分からない介護ですが、自分の生活も大切にしながら、介護のある暮らしを設計することからはじめてください。